昨日、おとといの上映会で購入した
飯田基晴監督のドキュメンタリー、『あしがらさん』を見ました。(飯田監督は
『犬と猫と人間と』の監督でもあります)
72分、ずっとあしがらさんから目が離せないドキュメンタリーでした。
『あしがらさん』は、新宿の家のない方々の中でも3本の指に入る、悲惨な状況の方で、20年以上、路上で暮らしていた人なのですが、その人物を、仲間で2万5千円ずつ出しあって初めて買った、10万円のホームビデオカメラで3年間、撮り続けて完成したドキュメンタリーだそうです。
舞台は2000年くらいの西新宿。当時、家のない方々は新宿駅を中心として600人以上いらっしゃったそうで、その後、火事で多くの方が亡くなられ、駅から退去させられ、いまだ新宿中央公園などで多くの方々が住んでいます。
その中でひときわ有名だったのが、「あしがらさん」と呼ばれる男性で、この方と監督の飯田さんの二人のコミュニケーションから生まれたドキュメンタリーです。
この映画を見たとき、僕はいつか、自分もこうなったらどうするか、自分があしがらさんだったらどうするか、もし、自分の体がこうなったらどうしているか、または将来的に老人になって、こうなった場合、どうするか… などなど、様々なことを考えながら、見入ってしまいました。
そこには、他人の助けや、温かい心に触れる中でもどうしてもあしがらさんがあしがらさんである何かがひっかかって、そこが非常にやるせなく、また、その人にしかない人生の裏側をどうしても知りたくなりますが、あしがらさんはあまり言葉にしない。
どうしてあしがらさんは20年間も路上で生活するはめになったのか、そして、それはどうにかならないものなのか、をずっと、ずっと、見ている間考えざるを得ない映画でした。
とにかく、一度、見ることをお勧めしたいドキュメンタリーです。
とってもチャーミングで憎めない、あしがらさん。
喋り方が独特で、本当に愛らしい。
言っていることも、結構、「えー!さっきまでこういってたのに!」っていうところもあり、笑えます。
そして、それを真っ正面から捉えようとしながらもあしがらさんを次第に好きになって行く飯田監督の愛のある視点と二人の関係性の変化。
見終わった後、僕は笑顔になっていたと思います。
良い映画を見たなあ、そんな気持ちにもなれる映画です。
セリフを少し抜粋。
飯田監督「いい時期とかあったんですか?」
あしがらさん「いい時期なんかまだ来ないよ、これからだよ」
もし機会があれば、是非!
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